2012年5月5日土曜日

ガソリンスタンドの利用客とクレジットカード会社の囲い込み

石油元売り各社がクレジットカード会社などと提携して発行するカードを系列のガソリンスタンドで使うとガソリン代を抑えることができる。いわゆる「ガソリンカード」の使い方が、2012/05/05(土)のNIKKEIプラス1にて紹介されている。

ここで、エネオスカードS・出光カード(まいどプラス)・シェルスターレックスカード・シナジーカード等の系列スタンドのみで割引や還元が行われるクレジットカードが紹介されている。

こうした系列スタンドのみで施されるポイントバックを使って、各石油元売り企業は、顧客の囲い込みを図っている。確かに、上手に使えば、消費者は通常支払うガソリン代を節約することが可能だ。

しかし、消費者として、ひとつ気をつけておかなければならないのは、そうした石油元売り各社による顧客囲い込みによって、結果的に最終消費者の利便性が損なわれる場合もありうるという点である。

石油元売り各社やガソリンスタンドは、独禁法のカルテルの常連である。業界ぐるみで一斉の値上げが行われやすく、常にカルテルの疑いがかけられている業界だとの認識で大きな誤りはない。

現在では、独禁法の改正によってカルテルには莫大な課徴金が課せられるようになっており、そのような危ない橋をわたろうとすることは少なくなっているだろう。しかし、ガソリンカードを用いた新たな顧客囲い込みによって、中小の独立系ガソリンスタンドを市場から駆逐することが可能になっているという点を見逃すべきではない。

管理人は、福岡市内に在住であるが、
ひとたびガソリンを入れようと思っても、半径2キロ圏内にガソリンスタンドは一件もない。5年ほど前には、車で2分ほどの距離に個人経営のガソリンスタンドと元売り提携のガソリンスタンドがあったが、見事に姿を消した。管理人は、馴染みのスタンドでガソリンを入れるためには、車を15分ほど走らせる必要がある。ガソリンスタンドが、賃料の安い郊外に移転しているのである。こうして、管理人は、しばしば、残りのガソリンを気にしながら給油に向かう羽目になる。

いわゆるガソリンカードによって系列囲い込みが進展すれば、個人経営のスタンドなどあっという間に吹き飛ばされてしまうだろう。そうして、囲い込まれた各ガソリンスタンドでは、ある程度自由な値決めが可能になる可能性がある。一時の便利さにのみ目を奪われて、特定業者の寡占によって結局はガソリンの値段が上がりやすくなるという因果関係に目がくらむという事態だけは避けたい。

上手に節約するにしても、おのれを取り巻く全体的な経済状況が如何なる変化をたどるかを冷静に見極めて行動したい。

なお、特定のガソリンスタンドにこだわらずガソリン代の還元が受けられるカードとして、JCBドライバーズプラスが取り上げられている。このカードを月に3万円以上使えば、利用額に応じてガソリン代などの還元率2.5~30%が決まるとのことらしい。

このカードが、近所のガソリンスタンドで使えるのであれば、特定の業者に囲い込まれずに済むことになる。これからの消費者は、自分の消費行動が特定事業者に囲い込まれることになっていないかを見極めることが大事である。わかった上で、利用する分は致し方ない。そこで得られた利益を、できるだけ周りの商圏に還元するようにしよう。それが、本当に賢い消費者の姿だと思われる。

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